島田荘司 『御手洗潔の挨拶』 『御手洗潔のダンス』 『Pの密室』 ネタバレ感想

参考URL
御手洗潔 - Wikipedia  :シリーズ概要や作品タイトル(出版年)等
御手洗潔 事件年表 :事件の順番や登場人物の年齢の参考に。
 *御手洗潔(1948年生まれ)、石岡和己(1950年生まれ) 作中で二人も年をとっていきます。

当ブログ記事
御手洗潔シリーズおすすめ本 - タイトル一覧
『占星術殺人事件』『異邦の騎士』(ネタバレ感想)
『斜め屋敷の犯罪 - 改訂完全版』 ネタバレ感想
『御手洗潔のメロディ』『最後のディナー』『セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴』(ネタバレ感想)
『最後の一球』(ネタバレ感想)
『暗闇坂の人喰いの木』(ネタバレ感想) 

▼以下ネタバレ感想です。

御手洗潔の挨拶 (講談社文庫)
島田 荘司
4061849433

嵐の夜、マンションの11階から姿を消した男が、13分後、走る電車に飛びこんで死ぬ。しかし全力疾走しても辿りつけない距離で、その首には絞殺の痕もついていた。男は殺されるために謎の移動をしたのか? 奇想天外にして巧妙なトリックを秘めた4つの事件に名探偵・御手洗潔が挑む短編集第1弾。


「数字錠」 (御手洗31歳、石岡君29歳) 「占星術殺人事件」から少したった頃の話。
「疾走する死者」 (御手洗32歳、石岡君30歳)
「紫電改研究保存会」 (御手洗37歳、石岡君は出番なし)
「ギリシャの犬」 (御手洗39歳、石岡君37歳)

初期に発表された御手洗潔の短編集。(4つの短編を収録)
適度な長さで読みやすく、ミステリというより御手洗潔とはどういう人物なのかを掘り下げたエピソードもあり、
総合的に満足度の高い本で、読んでよかった。

個人的な好みでは、 「ギリシャの犬」 が良かったです。
タコヤキ屋の屋台が盗まれた(それと同時に隣の家の盲導犬が殺される)事件と子供の誘拐事件がリンクする話。
御手洗の犬好きや彼の大学時代の話も出てきます。
現場に残された暗号(ギリシャ語で川という文字と記号のようなもの)が探偵物っぽくてグー。
事件の内容も短編にちょうどいいボリュームで、読後感がよく面白かったです。

「数字錠」はミステリというより、御手洗潔の優しさを描いた話でした。

「こんな罪まで、暴かなければならなかったんだろうか」
「ああ、今夜の自分の罪が消えるまで、僕も今後、二度とコーヒーを飲むことはないだろう」

 (島田荘司,『御手洗潔の挨拶』講談社文庫・1991年, 「数字錠」p91-92より引用)



コーヒーを飲まなくなった理由は、どんな苦い事件なんだろうと思えば「純粋な少年との悲しい別れ」でした。
(御手洗の言う罪とは、少年に自首させるために刑事に嘘の証言をさせたこと)

犯人だと分かった少年に、最後の思い出としてクリスマスプレゼントを用意してあげる件が良いですね。
フランス料理のディナーからはじまり東京タワーに登り、一杯千円のコーヒーをごちそうしてあげて。

でも作中で御手洗も言っていますが、いくら下種な社長だったとしても殺さなくても良かったんじゃないかと思います。
これを言ったら元も子もありませんが、作者が御手洗の優しさを表現するために、彼を殺しの犯人にしたような。(被害者が存命だと話の都合が悪い)

なお「数字錠」ラストは、馬車道のマンションに引っ越しが完了し、新年を迎えたところで終わります。
御手洗が食器棚からコーヒー豆をゴミ箱に捨てる描写があり、コーヒー飲まないを即実行しているのがわかりました。




御手洗潔のダンス (講談社文庫)
島田 荘司
4061854380

人間は空を飛べるはずだ、と日頃主張していた幻想画家が、4階にあるアトリエから奇声と共に姿を消した。そして4日目、彼は地上20メートルの電線上で死体となっていた。しかも黒い背広姿、両腕を大きく拡げ、まさに空飛ぶポーズで! 画家に何が起きたのか? 名探偵・御手洗潔が奇想の中で躍動する快作ぞろいの短編集。



「山高帽のイカロス」 (御手洗34歳、石岡君32歳)
「ある騎士の物語」 (御手洗41歳、石岡君39歳) 15年前の事件を回想して解決する話
「舞踏病」 (御手洗40歳、石岡君38歳)
「近況報告」 (御手洗41歳、石岡君39歳)

短編集2冊目。 正直、1冊目の挨拶の方が好みでした。
ミステリとしては、「山高帽のイカロス」と「舞踏病」が割と面白いと思いました。

「近況報告」は描き下ろしのようで、御手洗潔と石岡君の住むマンション(兼、探偵事務所)の間取りが見られたり、御手洗の普段の様子なんかを石岡君が説明するようなファン向けの内容。
趣味のギターの腕前、仲良しの犬の話や嗜好品の好み(紅茶、酒)が書かれていて、割と楽しめます。

≪作中で紹介された好きな紅茶≫
・ブルックボンドのダージリン、アッサム → ミルクティーで飲む
・ブルックボンドのキームン → ストレートで飲む
・トワイニングのアールグレイ → ロイヤルミルクティー(水と牛乳を1:1の分量で煮出す)、夏はアイスティーで飲む

・トワイニングのアールグレイ
トワイニング アールグレイ 200g トワイニング ティーバッグアールグレイ 20P×4個

・フォションのアップルティー
フォション 紅茶アップル(缶入り)125g フォション 紅茶アップル(ティーバッグ)1.7g×20袋

・フォートナム&メイソン → 英国王室 御用達の高級茶も嫌いではない(が、感激もしないらしい)
英国王室 御用達 フォートナム&メイソン アールグレイ 紅茶 1缶(250g) Fortnum&Mason EARL GREY 英国王室 御用達 フォートナム&メイソン ティーバック 3種類×5点 計15点 Fortnum&Mason


▼御手洗と石岡君の住む馬車道のマンション間取り図 (二人の部屋は対角線にあるんですね)
御手洗潔のダンス(二人のマンションの間取り)
(島田荘司,『御手洗潔のダンス』講談社文庫・1993年, 「近況報告」p336より引用)
掲載画像は紹介作品からの引用であり、著作権は作者および出版社にあります。

・御手洗の部屋の方が場所が良い
・石岡君の部屋は、元々カメラマンが暗室として使っていた為、窓がなくて暗い(鬱病の時期には辛い)



Pの密室 (講談社文庫)
島田 荘司
4062736616

完全な密室で発見された残虐な刺殺体。周囲のぬかるみに足跡も残さず消えた犯人。そして現場の床に整然と敷き詰められた赤い紙の謎。幾重にも重なる奇怪な状況に警察は立ち往生するが、小学2年生の御手洗少年は真相を看破する。表題作のほかに、名探偵・御手洗潔が5歳の頃に遭遇した「鈴蘭事件」を収録。ファン垂涎の1冊!


『Pの密室』は中編小説2作。  
石岡君が女子大生の里美さんから子供時代の御手洗情報を聞くところから始まるお話。
ネットで感想を見ていると「名探偵コナン」みたい、というコメントを見ましたが、そんな感じです。

5歳と7歳の時に解決した事件であり、御手洗潔の生い立ちがわかる一冊です。
ただし、どちらも謎が解決してスッキリ!という話でもなく、読後感としては少し微妙でした。
「鈴蘭事件」は、当時を知る女性が感じた事件背後のこと。女子校の理事を務める御手洗の叔母の思惑とか。
「Pの密室」は、犯人逮捕の直前で幕引きしますが、犯人の「希望が消える瞬間の直前」というのが何とも言えません。

『御手洗潔の挨拶』の「数字錠」で、「罪は罪だと考えた」という御手洗の一言がありますが、幼児期から既にそういう考えをもっていたんでしょうかね。


それにしても『Pの密室』(に収録された「鈴蘭事件」の)冒頭では、石岡君の様子に驚かされました。
前の感想(異邦の騎士のネタバレ部分)に引き続き、ですよ。

作中では「異邦の騎士」から20年近い歳月が過ぎ、石岡君は47歳になっていますが・・・。 
龍臥亭事件で知り合った女性・里美さん(20歳)に去られたら、この世の終わり。
という状態になっていて、「えっ…」となりました。

彼女に恋人ができたら鬱病になると考えたり、(セクハラ発言とも取れる)男性関係を聞いたり…

・御手洗は北欧に行っており不在(脳の研究や大学の教授として活躍している)
・馬車道のマンションに一人暮らし
・御手洗の解決した事件を本にする作家だから、新ネタがなければ無職に近い状態?

以上から、孤独で寂しい状況。
若くて可愛い女子大生が自分のところに訪ねてきてくれて嬉しいのは分かりますが、
里美さんをどういう目で見ているんでしょうか…嫁に欲しいの?



≪追記≫ Amazonの「最後のディナー」レビューにて「里美は良子の生まれ変わり」という一文を見て、そういう見方もあるんだなと思いました。ロマンチストだな。
(確かに作中で良子が亡くなって約20年、里美の年齢とほぼ同じ。)

龍臥亭事件〈上〉 (光文社文庫)龍臥亭事件〈上〉 (光文社文庫)
島田 荘司

龍臥亭事件〈下〉 (光文社文庫) 龍臥亭幻想(下) (光文社文庫) 龍臥亭幻想(上) (光文社文庫) 最後のディナー (文春文庫) 御手洗潔のメロディ (講談社文庫)

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