『ハサミ男』 『美濃牛』『黒い仏』『鏡の中は日曜日』『キマイラの新しい城』 『子どもの王様』 殊能将之

・ 殊能 将之 (しゅのう まさゆき)
福井県立藤島高等学校卒業。名古屋大学理学部中退。
1999年に『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞してデビュー。

・作品傾向
「解決したようで、解決していない」 というような結末だったり、作品ごとに作風を変えている等 飽きずに楽しめる作家さんです。

『ハサミ男』 
【評価】 ★★★★☆
【一言】 上手い!

ハサミ男 (講談社文庫)

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。



予想外に面白かったです! 作品の完成度が高い。

文章が読みやすいし、すごく上手ですね。

殊能 将之氏デビュー作ですが、彼の小説を初めて読むなら、まずこの本からがオススメ。
映画化もされているので、確実に代表作でしょう。

この作品の肝(トリック)についても、普通に騙されて読んでいました。
そして作者の意図通り 終盤の種明かしで驚きました(笑)

あと主人公が犯人(ハサミ男)というのは珍しいですね。
同情はできないけれど、嫌悪感を感じないキャラに描いているのもスゴイと思います。
まぁ精神異常者ではありますが。

一度 読み終わってから、もう一度 読んでも面白いと思える小説です。

※実際に、図書館で2回借りて読みました。 さらに、作者自身がハサミ男の解説(解釈)をしているという雑誌も読みました。 インタビュー形式で、サクサク語ってくれているのでグー。 

『ユリイカ1999年12月号 特集=ミステリ・ルネッサンス』
ユリイカ1999年12月号 特集=ミステリ・ルネッサンス





石動 戯作(いするぎ ぎさく)シリーズ

関連記事: 名探偵 石動戯作プロフィール
 

『美濃牛』 (みのぎゅう)
【評価】 ★★★☆
【一言】 分厚い本。
美濃牛 (講談社文庫)

病を癒す力を持つ「奇跡の泉」があるという亀恩洞は、別名を〈鬼隠れの穴〉といい、高賀童子という牛鬼が棲むと伝えられていた。運命の夜、その鍾乳洞前で発見された無惨な遺体は、やがて起こる惨劇の始まりに過ぎなかった。古今東西の物語の意匠と作家へのオマージュが散りばめられた、精密で豊潤な傑作推理小説。



ここからシリーズモノとなります。

1作目の『美濃牛』(みのぎゅう)は、けっこう真面目なストーリーでした。
横溝正史 風、ミノタウルスの神話を取り入れていれて創られた作品。

ところどころ、「ん?」と思うような箇所もありましたが、最後の石動戯作(いするぎぎさく)が自分の名刺を差し出す場面が良かったです!

ただ・・・窓音(まどね)という登場人物については、謎のまま。
含みのあるキャラだったけど、けっきょく何者だったの?
彼女と彼女の婚約者の関係は、ハッピーエンドと受け取っていいのでしょうか?


『黒い仏』 
【評価】 ★★☆
【一言】 これは反則
黒い仏 (講談社文庫)

九世紀の天台僧・円載にまつわる唐の秘宝探しと、一つの指紋も残されていない部屋で発見された身元不明死体。無関係に見える二つの事柄の接点とは?日本シリーズに沸く福岡、その裏で跋扈する二つの力。複雑怪奇な事件の解を、名探偵・石動戯作は、導き出せるのか?賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作。



助手のアントニオ(中国人)が、ある意味で主役の話。

“超絶技巧の問題作” と紹介されてますが、超絶技巧というか何というか・・・
あの結末は、怒る人は怒ると思う。
まさかの妖怪エンド。

私は割とテキトーに読んだので、許容範囲でしたが。
(毎回、作品毎に作風を変えている作者だし、こういう悪戯心も、作風かと)

面白かったのは、石動が依頼人の調査の為に宿泊した旅館で、

「普段は外食が多いから、こういう手の込んだ家庭料理が嬉しい!」
「ふかふかの布団でぐっすり!やったー」

・・・と大喜びしている場面。

石動さん、 ビンボー なんですね(笑)

(※石動さんは30代前半の独身男性という設定。いちおう自社の取締役)


『鏡の中は日曜日』 
【評価】 ★★★☆
【一言】 読後感が良い
鏡の中は日曜日 (講談社文庫)

梵貝荘(ぼんばいそう)と呼ばれる法螺貝様の異形の館。マラルメを研究する館の主・瑞門龍司郎が主催する「火曜会」の夜、奇妙な殺人事件が発生する。事件は、名探偵の活躍により解決するが、年を経た後、再調査が現代の名探偵・石動戯作に持ち込まれる。時間を超え交錯する謎。まさに完璧な本格ミステリ。続編「樒/榁」を同時収録。



石動戯作シリーズの中では、物語が纏まっていて、読後感の良い作品。
同時収録の続編「樒/榁」も、「鏡の中~」を読んでから読むとニヤリとさせられる小噺なので、面白いです。

『ハサミ男』 を思いだす作風。

それにしても石動さん、美濃牛の後は どんどん 自称 名探偵に(苦笑)


『キマイラの新しい城 』 
【評価】 ★★★★
【一言】 中世視点の現代が楽しい
キマイラの新しい城 (講談社文庫)

「わが死の謎を解ける魔術師を呼べ」フランスの古城を移築後、中世の騎士として振舞い始めた江里。750年前の死の真相を探れ、という彼の奇想天外な依頼で古城を訪れた石動戯作は、殺人事件に遭遇する。嫌疑をかけられた江里が向かった先は…。ミステリの枠に留まらない知的エンタテインメントの傑作。



こちらも読みやすく、面白い話だったと思います。
『鏡の中~』より、娯楽度が強くて好みです。
ミステリーや謎ときの面白さというより、社長である江里に取り付いた中世の騎士エドガーさんの言動が見所。


彼の発言を一部 ピックアップすると、こんな感じ。

(人名)
常務の大海(おおみ) = 大オーミ
大海の息子 = 小オーミ
石動 = イスルギー

(地名)
東京 = トキオーン

中世と現代のギャップがあって楽しめる一冊。
石動さんは、既に探偵でも何でもない。 中年ハリー・ポッター。




『子どもの王様 』 (講談社ミステリーランド)
【評価】 ★★☆
【一言】 はたして子ども向け・・・?
子どもの王様 (ミステリーランド)

ショウタの親友トモヤは学校にはほとんど行かず本ばかり読んでいる。そのせいか途方もないつくり話をよくする。この団地の外側には何もない、現に団地の案内図には外側なんて描いてないじゃないかという。今日も学校はあったよとショウタがいうと、昨晩大急ぎで造ったのさ、といった調子だ。他にも団地に住む西の良い魔女と東の悪い魔女の話とか、残虐非道な子どもの王様の話とか……。だがある日、ショウタはトモヤがいうとおりの姿かたちをした男を目撃する。もしかしてあれが子どもを穴蔵に閉じ込め、召し使いとしてこきつかうという子どもの王様?



「かつて子どもだったあなたと少年少女のための――」が、うたい文句の講談社のシリーズの1冊。

殊能将之さんの作品にハマリ、もう他に出ている本がなかったので、図書館で借りました。
この話は、ハサミ男や石動戯作シリーズとは、全く別物と考えていいでしょう。
子供向け・・・とは思えない、何とも後味の悪さが残る結末ですが、物語自体は割と単純です。
個人的には、作者が自分の子ども時代を振り返った「あとがき」があったことが、最も印象的。
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テーマ:推理小説・ミステリー
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