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【ネタバレ感想・如月行 編】■ なぜ『亡国のイージス』を読んだのか?実は、最初は興味ありませんでした。
早い話、
「こういう話は好みじゃない」と思ったんです。
この本を読むことにしたのは、たまたまネットで本の紹介を見たから。
おかげで、久しぶりに長編小説を読むことができました。
■ 小説読了後の気持ちあ〜〜、如月くんが生きてて良かった!
希望のあるラストで本当に良かった!!終盤は彼の安否を確認するために読み続けました。
いや、たぶん大丈夫だろうとは思っていたんです。
なのに【終章】で
「死んだ」なんて文章が出てくるからハラハラ!
「生きているとわかれば、それでいい。一度でいいから会わせろ!」 という仙石さんと心は同じです(笑)
もともと『亡国のイージス』は、如月行 目当てで読んでいたので、彼の結末が最重要。
この壮大なストーリーも
“人より辛い境遇を生きてきた孤独な少年が、艦内での生活を通して閉ざした心を開いていき、最終的に生きる目的や幸福を見出す物語”として捉えていました。
なので、この話が不幸なラストだったら、私の名作リストには載らなかったと思います。
ああいう主人公が、生き甲斐を見つけた所で死ぬなんて耐えられない。
(助かったと思った矢先、後ろからズドンと撃たれるとか)
その行く手には夜があり、夜明けがあり、まだ誰も見たことのない明日があるはずだった。
(福井晴敏, 2002, 『亡国のイージス(下)』 講談社文庫 p559)
このラストが良いですね。
肩の力が抜けて未来を感じるラスト。
求めていたのはこれです。
生きることは楽じゃないけれど、決して悪いことばかりでもない。
彼の人生にも、これから様々なことが待ち受けていると思いますが、
乗り越えていけるだろうなと思える最後の一行に感動しました。
■ 『亡国のイージス』で悶えた所シロ。
訓練キャンプ初日に与えられた子犬。
寝食を共に過ごし、厳しいキャンプ生活の中、唯一の温かみ。
このエピソードを見た時。
来る。 きっと来る。 優しい如月少年の心をえぐる結末が!と、不吉な気持ちを抱きました。
子犬と死別するのは予想していましたが、まさかあんな展開になるとは…。
思った以上に残酷で鬱。
わずか3ヶ月のぬくもり(涙)

※管理人のシロ・イメージイラスト。クリックすると拡大します。 ■ 『亡国のイージス』の楽しみ方見所は、やっぱり少年とおじさんの浪花節的・人間ドラマ。
あとは、防衛庁情報局(DAIS)がいい。
私は工作員とか諜報活動といったスパイもの好きなので、コードネームや潜入調査と聞くとウキウキします(笑)
この辺が、娯楽小説だと感じる部分かもしれません。
■ 菊政と田所二人とも殺害されてしまいましたねー。
菊政くんは、あんなに早く死ぬと思わなかったので驚きました。
行にとっては、自分を慕って懐いてくる
シロのような存在だったと思うので可哀想です。
田舎のおばあさんを悲しませないで欲しかった。
おまえには、絶対におれたちにはないものがある。絵を描けるんだってそうだ。こんなとこで燻ってる必要なんかないんじゃないかって
(福井晴敏, 2002, 『亡国のイージス(上)』 講談社文庫 p325-326)
田所兵長もいい人だったのにっ。
如月行を褒めてくれる人は、自然と人物評価が上がります。
しかし、この作品は若者死亡率が高い。 それが戦争か。
■ 仙石さん 「絶対に死ぬな。」 (『亡国のイージス(下)』 講談社文庫 p214)
もう一人の主人公。 一番、出番が多くて目立っている人。
読者視点となる人物なので、ごく
普通のおじさんという感じ。
私は
仙石さんと行が絵について話す場面が、とても好きです。
彼がいなければ、如月行は救われなかったので、仙石さんも好きですよ。
「死ぬな」って言ってくれて、ありがとう。
■ 『亡国のイージス』で、温かい所
「……おれをくどきにきたんだ」
「冗談だ」
「今なら……やり直せるのかもしれない」
― 如月 行のセリフ ―
(『亡国のイージス(下)』 講談社文庫 p374)
仙石さんに、ジョンヒが何で一人で来たのか聞かれた場面。
口説きに来たっていう反応が可愛い(笑)
ローズダストの朋希じゃないんだから、微笑ましいセリフなんてないと思ってたけど、ありましたね。
ジョンヒが彼を誘惑したのは事実なので、冗談じゃなくて、その通りなんだけど。
一筋の希望を感じる「やり直せるかも」という前向きな言葉も好きです。
仙石さんじゃないけど、ほんわかした気持ちになりました!
■『亡国のイージス』で、切ない所
如月 「……生き残った後なら、なんだって言えるってことさ。ためらったらこっちが殺されるんだ。」 「あんたの言ってることは理想だ。戦争では考えた者から順に死んでいく」
仙石 「そうかもしれねえけど……。おれは、それでも考えるのが人間だと思う。」 「おまえは優秀な兵士かもしれねえけど、それ以上に誰にもない才能を持ってる。引き金を引くその指で、大勢の人を感動させる絵が描けるんだ。その心があれば、理想の大切さだってわかるはずだ」
(『亡国のイージス(下)』 講談社文庫 p329-332)
撃たれる前に撃つを実行し砲雷長の杉浦を殺した行と、それを納得できない仙石さんのやりとり。
これが伏線となり、後に如月行が撃たれる理由になるのが切ない…。
迷ったら殺されるから迷わないという如月。迷い・悩み・考えるのが人間だという仙石さん。どちらが正しいとも間違っているとも言いきれない部分だと思います。
でも、仙石さんのような主張をする人のいない世の中だったら寂しいかもしれません。
■ 主人公・如月行について安直ですが、陰のある少年ですね。
こういう人物はフィクションでは珍しくありません。
また彼の生い立ちやシロの話、仙石さんとの交流など、一つ一つのエピソードをとっても「こんな話は初めて!」というより、むしろ「ああ、そういう…」と感じる展開が多いです。
しかし、そのどれもが良いと思わせる所が、この作品のすごさ。
例え既視感があっても、見せ方によって、こんなに人の心を掴むものなんだなと感心します。
(少なくとも私の好みにピッタリでした)
あえて言うなら、あれほどの境遇を背負いながら暗く憂鬱にならず、どこか清涼感さえ漂う人物造詣をしている所がすごいと思います。
あとは絵の才能を持つという設定。
この設定が作中で上手く生かされており、彼の繊細な魅力が伝わってきました。
最後、静かに絵を書く生活を得られて良かった。
彼の未来に希望を感じられるエピローグがあって本当に良かったです(笑)
【映画感想】
映画 『亡国のイージス』 ★★★
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【絵】シロ